公式スキル · 経営戦略

戦略のカーネル

診断、基本方針、一貫した行動からなる戦略を1枚に書き、空疎な言葉や目標だけの計画など、悪い戦略の特徴で点検する。

Claude・ChatGPT・コーディング用の AI で使えます。TeamとBusiness では、Pod に入れた公式スキルが改善のたびに自動で最新版になります。

使う場面

AI に渡すもの

できあがるもの

診断、やらないことつきの基本方針、支え合う3〜5つの行動、近い目標1つ、悪い戦略の点検、決めることを書いた1枚。

手順

  1. 事実といまの計画を集める 状況を数行で書き直し、数字と出どころを添える。いまの戦略があれば、書かれている目標と施策をそのまま引く。手順6で点検する。
  2. 診断を書く 状況のうちいちばん大事な1つか2つの点を挙げ、それがなぜ障害なのかを説明する。枝葉は落とす。読み終えた人が、問題のどこを押せばよいかわかるように。問題を全部並べるのではなく、判断として書く。もっともらしい診断が2つあれば両方書き、どの証拠でどちらに決まるかを書く。
  3. 基本方針を書く 障害への全体としての取り組み方を1〜2文で書く。方針は、ほかの道をふさぐものにする。その方針のために組織がやらないことを書く。基本方針はやり方で、目標ではない。「20%成長する」は方針ではない。「小口の顧客のオンボーディングを自分たちで担い、更新を取り戻す」は方針になる。
  4. 一貫した行動を3〜5つ書く どの行動も、人、お金、時間を投じる具体的な約束で、方針を実行するもの。次に一貫性を確かめる。2つずつ組にして、一方がもう一方をどう支えるかを書く。方針につながらない行動は、良いアイデアでも外す。
  5. 近い目標を置く いまある力で近いうちに本当に届き、障害を越える助けになる目標を1つ選ぶ。担当と期日をつける。
  6. 悪い戦略の点検をする 下書きと、すでにある戦略を、4つの特徴で確かめる。空疎である: 立派に聞こえるが、読み手が知らないことを何も言っていない言葉。重大な問題に取り組まない: 何が行く手をふさいでいるかを計画がどこにも書いていない。目標を戦略と取り違えている: 数字や願望があるのに、どう達成するかがない。間違った戦略目標を掲げている: 順番のない長い願いごとの一覧か、達成しても答えに少しも近づかない目標。特徴ごとに合格か不合格をつけ、引っかかった一文と書き直しを添える。
  7. 決めることと次の行動で締める 決める人が承認すること、方針によってやめること、まだ確かめる事実。

SKILL.md の全文

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name: strategy-kernel
description: リチャード・ルメルトの言う戦略のカーネル(kernel)を1枚に書く。いちばん重大な課題の診断、それにどう取り組むかを決める基本方針、互いに支え合う少数の一貫した行動。そのうえで、悪い戦略の特徴(空疎である、重大な問題に取り組まない、目標を戦略と取り違えている、間違った戦略目標を掲げている)で点検する。戦略を書いてほしい、直してほしい、この戦略は良いのか見てほしい、目標や施策の一覧を本物の戦略にしたいと頼まれたとき、戦略のカーネル、『良い戦略、悪い戦略』(Good Strategy Bad Strategy)、診断・基本方針・一貫した行動、ルメルトに触れられたときに使う。
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# 戦略のカーネル

戦略は困難を抜ける道筋であって、野心の一覧ではない。リチャード・ルメルトは、良い戦略にはどれも同じ核があると説き、それをカーネルと呼ぶ。平たく言えば、本当の問題は何で、なぜ難しいのかを言う(診断)。攻め方を1つに決める(基本方針)。互いを支え合う少数の手を打つと約束する(一貫した行動)。ルメルトはこれを「The perils of bad strategy」(McKinsey Quarterly、2011年6月)と著書『良い戦略、悪い戦略』(Good Strategy Bad Strategy、2011年)で示した。本では悪い戦略の特徴も挙げている。空疎である、重大な問題に取り組まない、目標を戦略と取り違えている、間違った戦略目標を掲げている。このスキルはカーネルを1枚に下書きし、その下書きか、すでにある戦略を、これらの特徴で点検する。

## 使う場面

- 目標と施策の一覧はあるのに、その計画が何の問題を解くのかチームが言えないとき。
- 資料、計画、取締役会の資料について、リーダーが「この戦略は良いのか」と聞くとき。
- 会社、製品、部門、チームの戦略を書き始めるとき。
- OKR や四半期の計画を決める前。目標が戦略から導かれるように。
- ある環境でどう計画を立てるかを選ぶときには使わない(strategy-style-selector を使う)。志から管理のしくみまでつながった一連の選択を書くときにも使わない(strategy-choice-cascade を使う)。

## 用意するもの

- 状況: 何が起きているか、何が変わったか、ユーザーの手元にある数字(売上、シェア、解約、コスト)、いちばん大事だと考えている障害。
- いまの戦略や計画があれば、書かれたとおりの言葉で。
- 資源と制約: 人、お金、時間、変えられないこと。
- だれのための戦略か(会社、部門、チーム)と、だれが決めるか。
- 事実、市場のデータ、数字は作らない。足りないものは一度だけ聞き、それでもなければ「[要確認: ...]」と書く。ユーザーに主な障害の見立てがなければ、最初の下書きでそう書き、診断をまだ答えの出ていない問いとして残す。

## 手順

1. **事実といまの計画を集める。** 状況を数行で書き直し、数字と出どころを添える。いまの戦略があれば、書かれている目標と施策をそのまま引く。手順6で点検する。
2. **診断を書く。** 状況のうちいちばん大事な1つか2つの点を挙げ、それがなぜ障害なのかを説明する。枝葉は落とす。読み終えた人が、問題のどこを押せばよいかわかるように。問題を全部並べるのではなく、判断として書く。もっともらしい診断が2つあれば両方書き、どの証拠でどちらに決まるかを書く。
3. **基本方針を書く。** 障害への全体としての取り組み方を1〜2文で書く。方針は、ほかの道をふさぐものにする。その方針のために組織がやらないことを書く。基本方針はやり方で、目標ではない。「20%成長する」は方針ではない。「小口の顧客のオンボーディングを自分たちで担い、更新を取り戻す」は方針になる。
4. **一貫した行動を3〜5つ書く。** どの行動も、人、お金、時間を投じる具体的な約束で、方針を実行するもの。次に一貫性を確かめる。2つずつ組にして、一方がもう一方をどう支えるかを書く。方針につながらない行動は、良いアイデアでも外す。
5. **近い目標を置く。** いまある力で近いうちに本当に届き、障害を越える助けになる目標を1つ選ぶ。担当と期日をつける。
6. **悪い戦略の点検をする。** 下書きと、すでにある戦略を、4つの特徴で確かめる。空疎である: 立派に聞こえるが、読み手が知らないことを何も言っていない言葉。重大な問題に取り組まない: 何が行く手をふさいでいるかを計画がどこにも書いていない。目標を戦略と取り違えている: 数字や願望があるのに、どう達成するかがない。間違った戦略目標を掲げている: 順番のない長い願いごとの一覧か、達成しても答えに少しも近づかない目標。特徴ごとに合格か不合格をつけ、引っかかった一文と書き直しを添える。
7. **決めることと次の行動で締める。** 決める人が承認すること、方針によってやめること、まだ確かめる事実。

## 出力の形式

```markdown
# 戦略のカーネル: [組織か部門]
**決める人:** [名前] · **日付:** [日付] · **範囲:** [会社 / 部門 / チーム]

## 診断
[2〜4文: 何が起きているか、いちばん重大な障害、なぜ難しいか。事実と出どころ。]

## 基本方針
[1〜2文: 全体としての取り組み方。]
**やらないこと:** [方針がふさぐもの]

## 一貫した行動
1. **[行動]** — [担当] — [資源]
2. **[行動]** — [担当] — [資源]
3. **[行動]** — [担当] — [資源]

**どう支え合うか:** [組かつながりごとに1行: 行動1があるから行動2が効く。なぜなら…]

## 近い目標
[いまの資源で届く目標1つ] — [担当] — [日付]

## 悪い戦略の点検
| 特徴 | 合格 / 不合格 | 引っかかった一文 | 書き直し |
|---|---|---|---|
| 空疎である | | | |
| 重大な問題に取り組まない | | | |
| 目標を戦略と取り違えている | | | |
| 間違った戦略目標を掲げている | | | |

## 決めることと次の行動
- **決める:** [承認すること]
- **やめる:** [方針で終わらせること]
- **確かめる:** [要確認: ...]
```

## 例

**入力:** 「大阪でミールキットの会社をやっていて、会員は2,400人です。昨年の戦略は『関西でいちばん顧客中心の食のプラットフォームになる。目標: 会員30%増、法人向けランチの開始、ヴィーガンのボックスの追加、神戸への進出、アプリの開発、NPS の改善』。会員は4%しか増えませんでした。データ: 新規会員の55%が最初の8週以内に解約し、8週を越えた人は平均約14か月続く。解約アンケートでは、ほとんどの人が、うたっている30分より調理に時間がかかったと答えている。社員は18人で、料理長と試作キッチンの料理人2人、業務責任者、データ担当、顧客対応の責任者が率いる2人の顧客対応チームがいます。決めるのは社長の田中です。」

**出力:**

```markdown
# 戦略のカーネル: 大阪のミールキット会社
**決める人:** 田中(社長) · **日付:** [日付] · **範囲:** 会社

## 診断
伸びないのは、新規会員が習慣になる前にやめていくから。55%が8週以内に解約し、8週を越えた人は平均約14か月続く。解約アンケートは原因を1つに指している。レシピがうたっている30分より時間がかかる。問題は最初の8週で、集客ではない。

## 基本方針
最初の8週を確実に楽にし、続ける段階までたどり着く新規会員を増やす。
**やらないこと:** 今年は神戸への進出、法人向けランチの開始、アプリの開発をしない。

## 一貫した行動
1. **最初の8週の献立を、家庭での試作で30分以内に収まったレシピに組み直す** — 料理長 — 料理人2人、試作キッチンの予算の一部 [要確認: 金額]
2. **新規会員向けのボックスでは、いちばん時間のかかる食材2つを下ごしらえして届ける** — 業務責任者 — [要確認: 1箱あたりの追加の費用]
3. **新規会員全員に、2週目と5週目に電話かメッセージで連絡する** — 顧客対応チーム(2人) — [要確認: 使える時間]
4. **解約を週と理由ごとに、毎週月曜に報告する** — データ担当 — いまあるツール

**どう支え合うか:** 行動1と2は、アンケートが示す原因を取り除く。行動3は、1と2で救えない会員を拾い、そのメモが献立の見直しに戻る。行動4は、1〜3が効いているかを数週間で見せる。

## 近い目標
来四半期に入会する会員の8週以内の解約を、55%から[要確認: チームが届くと考える目標]に下げる — 顧客対応の責任者 — 来四半期末

## 悪い戦略の点検
| 特徴 | 合格 / 不合格 | 引っかかった一文 | 書き直し |
|---|---|---|---|
| 空疎である | 不合格 | 「関西でいちばん顧客中心の食のプラットフォーム」 | 「最初の8週を確実に楽にする」 |
| 重大な問題に取り組まない | 不合格 | 旧計画は早期の解約にひと言も触れていない | 上の診断が8週での離脱を名指ししている |
| 目標を戦略と取り違えている | 不合格 | 「会員30%増」に、どう達成するかがない | 成長は、8週を越える会員が増えることから生まれる |
| 間違った戦略目標を掲げている | 不合格 | 神戸やアプリを含む、順番のない6つの目標 | 近い目標は1つ。神戸、アプリ、法人向けランチはやめる |

## 決めることと次の行動
- **決める:** 基本方針と4つの行動を承認する。
- **やめる:** 神戸への進出、法人向けランチ、アプリの開発。
- **確かめる:** [要確認: 下ごしらえした1箱あたりの追加の費用]、[要確認: 試作キッチンの予算]、[要確認: 8週以内の解約の目標]
```

## 送る前のチェック

- [ ] 診断が具体的な障害と、その裏にある事実を挙げている。
- [ ] 基本方針は目標ではなくやり方で、何をふさぐかを書いている。
- [ ] どの行動も方針を実行していて、行動どうしがどう支え合うかを書いた。
- [ ] いまある力で届く近い目標が1つある。
- [ ] 悪い戦略の点検で、特徴ごとに合格か不合格をつけ、引っかかった一文を引いた。
- [ ] 作った数字はない。足りないところは「[要確認: ...]」と書いた。

## よくある失敗

- 目標から書き始め、できたものを戦略と呼ぶ。まず障害から。
- 問題をすべて並べた診断。ほかを説明する1つか2つを選ぶ。
- 何もふさがないほど広い基本方針。
- 古い計画の施策を全部残す。一貫させるとは、合わない良いアイデアを手放すこと。
- ビジョンの言葉でカーネルを書く。どの会社にも当てはまる一文は削る。

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出典

出典は英語のページです。

  1. The perils of bad strategy - Richard Rumelt, McKinsey Quarterly, June 2011 (2026-11-04に確認)
  2. The perils of bad strategy - archived copy (Internet Archive), dated June 1, 2011 (2026-11-04に確認)
  3. Good Strategy Bad Strategy by Richard Rumelt - Penguin Random House (2026-11-04に確認)
  4. 良い戦略、悪い戦略 - 日経BOOKプラス (2026-11-04に確認)