公式スキル · 財務・経理
ユニットエコノミクスのチェック
ユーザーの数字から CAC、LTV、LTV/CAC、回収期間、売上総利益率を式つきで計算し直し、結果をふくらませる定義のまちがいを指摘する。
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使う場面
- 資金調達の前、スライドに LTV/CAC や回収期間が載っているとき
- マーケティングと財務で CAC の数字が違うとき
AI に渡すもの
- 営業・マーケティング費用と新規顧客数
- ARPA と売上総利益率
- 解約率とその計算方法
できあがるもの
ユーザーの数字と計算し直した数字を式つきで並べた表、定義の問題、いちばん大事なこと。
手順
- CAC を計算し直す CAC = 営業・マーケティング費用 ÷ 新規顧客数(同じ期間)。どの費用を含めたかを示す。広告費だけなら CAC ではなく「広告の CAC」と呼ぶ。広告経由と自然流入が混ざっていて内訳があれば、広告の CAC = 広告費 ÷ 広告経由の新規顧客数 も計算する。
- 売上総利益率を計算し直す 売上総利益率 = (売上 − 売上原価) ÷ 売上。ホスティング、製品に組み込んだ外部のソフトウェア、決済手数料、カスタマーサポートが売上原価に入っているかを確かめる。入っていなければ、利益率が実際より高いと指摘する。
- LTV を売上総利益で計算し直す 顧客の継続期間(月)= 1 ÷ 月次解約率。LTV = 月間 ARPA × 売上総利益率 × 継続期間。ユーザーの LTV が利益率を掛けずに売上で計算されていれば指摘し、両方を示す。解約率が月1%未満か、6か月未満のデータに基づくなら、継続期間を長く見積もりすぎている可能性が高いと指摘する。
- LTV/CAC を計算する LTV ÷ CAC。参考値: SaaS では3を超えることがよく挙げられ、その目安は売上総利益ベースの LTV を前提にしている。比率を書く。ユーザー自身の目標がなければ、よい・悪いとは言わない。
- CAC の回収期間を計算する 回収期間(月)= CAC ÷ (月間 ARPA × 売上総利益率)。参考値: SaaS では12か月未満が健全とよく言われ、5〜7か月なら強い。エンタープライズ向けの営業では長くなりがち。
- 定義の問題を並べる 1つずつ確かめる: 売上ベースの LTV か利益ベースの LTV か。全体の CAC に広告の CAC が埋もれていないか。費用と顧客数の期間がずれていないか。解約率の母数が期首ではなく期末の顧客数になっていないか。年間契約を月次として数えていないか。新規顧客の ARPA にアップセルの売上が入っていないか。問題ごとに、数字への影響を書く。
- まとめる 指標ごとに、ユーザーの数字と計算し直した数字、いちばん大事な問題を1〜2つ。
SKILL.md の全文
AI が読むファイルそのものです。 ダウンロード
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name: unit-economics-check
description: ユーザー自身の数字から、スタートアップのユニットエコノミクスを確かめる。CAC、LTV、LTV/CAC、CAC の回収月数、売上総利益率を、式をすべて示して計算し直し、定義のまちがいを指摘する。たとえば売上総利益ではなく売上で計算した LTV、全体の CAC に埋もれた広告経由の CAC、まちがった母数で計算した解約率。CAC、LTV、回収期間、利益率の数字、ピッチ資料の指標のスライド、SaaS の指標のシートを渡されて、計算を確かめてほしい、「うちのユニットエコノミクスは健全か」と聞かれたときに使う。
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# ユニットエコノミクスのチェック
ユニットエコノミクスが役に立つのは、投資家や経営者が読むのと同じ定義で計算されているときだけ。各指標をもとの入力から計算し直し、式を示し、定義のせいで結果がふくらんでいるところを指摘する。ベンチマークは参考値で、判定ではない。
## 使う場面
- 資金調達の前、指標のスライドに LTV/CAC や回収期間が載っているとき。
- マーケティングと財務で CAC の数字が違うとき。
- 広告費を増やす前に、広告経由の獲得が回収できるかを確かめるとき。
- モデル全体のレビューには使わない。model-assumptions-review を使う。
## 用意するもの
- 獲得: その期間の営業・マーケティング費用(何を含むか: 給与、広告、ツール、代理店)、同じ期間の新規顧客数。わかれば広告経由と自然流入に分けて。
- 売上: 顧客1社あたりの月間売上(ARPA)と売上総利益率(売上から、ホスティング、サポート、決済手数料などの提供コストを引いたもの)。
- 継続: 月次の顧客解約率か売上解約率と、その計算方法。
- ユーザー自身が出している CAC、LTV、回収期間(あれば)。比べるため。
- 欠けているものは「[要確認: …]」。業界平均の解約率や利益率で埋めない。
## 手順
1. **CAC を計算し直す。** CAC = 営業・マーケティング費用 ÷ 新規顧客数(同じ期間)。どの費用を含めたかを示す。広告費だけなら CAC ではなく「広告の CAC」と呼ぶ。広告経由と自然流入が混ざっていて内訳があれば、広告の CAC = 広告費 ÷ 広告経由の新規顧客数 も計算する。
2. **売上総利益率を計算し直す。** 売上総利益率 = (売上 − 売上原価) ÷ 売上。ホスティング、製品に組み込んだ外部のソフトウェア、決済手数料、カスタマーサポートが売上原価に入っているかを確かめる。入っていなければ、利益率が実際より高いと指摘する。
3. **LTV を売上総利益で計算し直す。** 顧客の継続期間(月)= 1 ÷ 月次解約率。LTV = 月間 ARPA × 売上総利益率 × 継続期間。ユーザーの LTV が利益率を掛けずに売上で計算されていれば指摘し、両方を示す。解約率が月1%未満か、6か月未満のデータに基づくなら、継続期間を長く見積もりすぎている可能性が高いと指摘する。
4. **LTV/CAC を計算する。** LTV ÷ CAC。参考値: SaaS では3を超えることがよく挙げられ、その目安は売上総利益ベースの LTV を前提にしている。比率を書く。ユーザー自身の目標がなければ、よい・悪いとは言わない。
5. **CAC の回収期間を計算する。** 回収期間(月)= CAC ÷ (月間 ARPA × 売上総利益率)。参考値: SaaS では12か月未満が健全とよく言われ、5〜7か月なら強い。エンタープライズ向けの営業では長くなりがち。
6. **定義の問題を並べる。** 1つずつ確かめる: 売上ベースの LTV か利益ベースの LTV か。全体の CAC に広告の CAC が埋もれていないか。費用と顧客数の期間がずれていないか。解約率の母数が期首ではなく期末の顧客数になっていないか。年間契約を月次として数えていないか。新規顧客の ARPA にアップセルの売上が入っていないか。問題ごとに、数字への影響を書く。
7. **まとめる。** 指標ごとに、ユーザーの数字と計算し直した数字、いちばん大事な問題を1〜2つ。
## 出力の形式
```markdown
# ユニットエコノミクスのチェック — [会社]、[期間]
## 結果
| 指標 | ユーザーの数字 | 計算し直した数字 | 式 | メモ |
|---|---|---|---|---|
| CAC | [n] | [n] | [費用 ÷ 新規顧客数] | [含めたもの] |
| 売上総利益率 | [%] | [%] | [(売上 − 売上原価) ÷ 売上] | |
| 継続期間(月) | | [n] | [1 ÷ 月次解約率] | |
| LTV | [n] | [n] | [ARPA × 利益率 × 継続期間] | |
| LTV/CAC | [x] | [x] | [LTV ÷ CAC] | 参考値: 3超がよく挙げられる |
| CAC の回収期間(月) | [n] | [n] | [CAC ÷ (ARPA × 利益率)] | 参考値: 12未満がよく挙げられる |
## 定義の問題
1. **[問題]:** [何をしていたか] → [数字への影響]
## いちばん大事なこと
- [1〜2個の箇条書き]
## 足りないもの
- [渡されていない入力]
```
## 例
**入力:**
> 株式会社ブリーザ(B2B SaaS)、第2四半期。営業・マーケティング費用1,800万円(広告900万円、SDR 2名の給与600万円、ツール300万円)。新規顧客120社(うち広告経由50社)。ARPA は月4万円。売上総利益率78%(売上原価はホスティングのみ。月90万円のサポートチームは含まない)。月次の顧客解約率1.5%。資料では LTV 266.7万円、LTV/CAC 17.8。
**出力(抜粋):**
```markdown
# ユニットエコノミクスのチェック — ブリーザ、第2四半期
## 結果
| 指標 | ユーザーの数字 | 計算し直した数字 | 式 | メモ |
|---|---|---|---|---|
| CAC | 15万円 [推定: 266.7万円 ÷ 17.8] | 15万円 | 1,800万円 ÷ 120 | 営業・マーケティング費用をすべて含む |
| 広告の CAC | | 18万円 | 900万円 ÷ 50 | 広告費のみ。SDR の時間は含まない |
| 売上総利益率 | 78% | [要確認: サポートを含めるための売上] | | サポートが売上原価に入っていない |
| 継続期間(月) | | 66.7 | 1 ÷ 0.015 | |
| LTV | 266.7万円 | 208万円 | 4万円 × 0.78 × 66.7 | ユーザーの数字は売上ベース(4万円 × 66.7) |
| LTV/CAC | 17.8 | 13.9 | 208万円 ÷ 15万円 | 参考値: 3超がよく挙げられる |
| CAC の回収期間(月) | | 4.8 | 15万円 ÷ (4万円 × 0.78) | |
## 定義の問題
1. **売上ベースの LTV:** 4万円 × 66.7 = 266.7万円は利益率を無視している → LTV を28%多く見積もっている(266.7万円と208万円)。
2. **サポートが売上原価の外:** 月90万円のサポートが売上原価に入っていない → 売上総利益率、LTV、回収期間がどれも実際よりよく見える[要確認: 利益率を計算し直すための四半期の売上]。
3. **66.7か月の継続期間:** 解約率1.5%だと5年以上を前提にしている。[要確認: 解約率のデータは何か月分か]。
## いちばん大事なこと
- 資料を出す前に、LTV を売上総利益ベースに直す: 208万円、比率13.9。
## 足りないもの
- サポートを売上総利益率に入れるための、第2四半期の売上合計。
```
## 送る前のチェック
- [ ] 計算し直したどの指標にも、式と入力の数字がある。
- [ ] LTV は売上総利益率を使い、売上ベースの LTV には指摘を付けた。
- [ ] CAC の費用と新規顧客数は同じ期間のもの。
- [ ] ベンチマークは判定ではなく参考値と書いた。
- [ ] 入力にない解約率、利益率、ARPA を書いていない。足りないものは「[要確認: …]」とした。
## よくある失敗
- 数か月分のデータからとても低い解約率を取り、継続期間が10年になる。
- 「固定費だから」と、給与を CAC から外す。
- 利益ベースの LTV/CAC を、ほかの会社の売上ベースのものと比べる。
チームで使う
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変更履歴
- v1.0.0 · · First release.
出典
出典は英語のページです。
- SaaS Metrics 2.0 – A Guide to Measuring and Improving what Matters (2026-11-04に確認)
- SaaS Metrics 2.0 – Detailed Definitions (2026-11-04に確認)
- Months to Recover CAC | Formula + Calculator (2026-11-04に確認)
- 16 Startup Metrics | Andreessen Horowitz (2026-11-04に確認)