経営者の考え方

アンディ・グローブの OKR、1on1、マネジャーのアウトプット

アンディ・グローブ本人および関係会社とは無関係で、推薦も受けていません。

アンディ・グローブはインテルを率いた経営者で、生産の基本から説き起こすマネジメントの本『High Output Management』を書きました。このページでは 3 つを取り上げます。インテルでの OKR の運用、マネジメントの中心的な道具としての 1on1、そしてマネジャーの成果を自分のチームと周りのチームのアウトプットで数える式です。本はオンラインで自由に読めないため、2015 年版に Ben Horowitz が寄せた序文と、ジョン・ドーアのサイト What Matters をもとにまとめます。

要点

  • マネジャーのアウトプット:自分の組織のアウトプットに、影響を及ぼす周りの組織のアウトプットを足したもの。
  • できないか、やる気がないか:人のアウトプットを上げる手段は、訓練と動機づけの 2 つ。
  • 仕事ごとの習熟度:その仕事に慣れていない人には手をかけて教え、慣れている人には任せる。
  • インテルの OKR:四半期ごと、報酬とは切り離し、達成か未達かで採点、導入当初は野心的な OKR だけ。

マネジャーのアウトプットは、チームのアウトプット

Horowitz の序文は、本がマネジメントを説明するときに最初に置く式を引用しています。原文は "A manager's output = the output of his organization + the output of the neighboring organizations under his influence." です。つまり、マネジャーのアウトプットは、自分の組織のアウトプットと、影響を及ぼす周りの組織のアウトプットの合計です。Horowitz はこれを、マネジャーと個人で成果を出す人との違いだと読んでいます。マネジャーの知識は、それでほかの人のアウトプットが上がったときにはじめて価値を持つ、ということです。

序文はまた、人が仕事をしていない理由は、できないか、やる気がないかの 2 つしかない、というグローブの言葉を引いています。だからマネジャーが打てる手は訓練と動機づけです。本の最終章の題は "Why Training Is the Boss's Job"(訓練は上司の仕事である理由)です。

たとえば、架空のサポートチームのリーダーが、週 14 時間を自分で問い合わせに答えることに使っているとします。この式で見ると、その時間はリーダー個人の作業にしかなりません。入ったばかりのメンバーにエスカレーションの判断を教える 1 時間や、製品チームの会議でサポート側の事情を伝え、お客様が先に変更に気づくような出し方を減らす 1 時間は、自分のチームと周りのチームのアウトプットにつながります。

仕事ごとの習熟度に合わせて、どこまで手をかけるか

Horowitz によると、手をかけるべきか任せるべきかという問いへの本の答えは、その人がその仕事にどれだけ習熟しているか次第です。その仕事に不慣れな人には手をかけた指導が必要で、習熟した人には任せられます。序文は、うまくいっていない部下を自分の失敗から学ばせればよいという考えに対するグローブの反論も引いています。その学費を払うのはお客様だ、というものです。

先ほどの例なら、2 年間請求関連の問い合わせを担当してきたメンバーにはそのまま任せられます。先月入ったメンバーには、まずエスカレーションを一緒に見ることから始めます。

1on1

序文によると、本の会議の章は、1on1 の進め方を基本から説明するところから始まります。Horowitz は自分の考えとして、1on1 はマネジャーにとって組織の実情を知る最良の情報源かもしれない、1on1 をしないマネジャーは組織で何が起きているかをほとんど分かっていない、と書いています。本にある 1on1 の細かい進め方は、私たちが開けた出典には書かれていないため、このページでは扱いません。1on1 そのものの準備は、ライブラリーの 1on1 準備のスキルが扱います。

グローブがインテルで運用した OKR

ジョン・ドーアのサイト What Matters によると、グローブはピーター・ドラッカーの目標管理(MBO)をもとにインテルでこの方法をつくり、当初は iMBOs(Intel Management by Objectives)と呼んでいました。目標(Objective)を語るときは、ほとんど必ず主要な結果(Key Results)と結びつけていたとあります。MBO との違いとして挙げられているのは、年次ではなく四半期ごとに設定すること、報酬とは切り離すことです。採点は、その KR を達成したかしなかったかの二択でした。

同じサイトは、グローブがインテルに OKR を導入した当初は野心的な OKR しかなく、コミット型と野心的な OKR を分けたのは後の Google だとしています。また、グローブは望ましいアウトプットを KR の物差しとしていたと説明し、"Stressing output is the key to increasing productivity."(アウトプットを重んじることが生産性を上げる鍵だ)という言葉を引いています。グローブのセミナーで学んだドーアが OKR と名づけ、1999 年に Google に紹介しました。

序文には、OKR とも関わる計画の考え方も引かれています。"today's gap represents a failure of planning sometime in the past."(今日のギャップは、過去のどこかでの計画の失敗の表れだ)。来四半期のアウトプットのために手を打つのは、今だということです。

自分のチームに当てはめる手順

  1. ふだんの 1 週間の活動を、時間とあわせて書き出します。
  2. それぞれに印をつけます。自分のチームのアウトプットを上げるものか、周りのチームのものか、自分の手作業か。
  3. 自分の手作業ごとに、チームの誰が引き受けられるか、その人がその仕事にどれだけ慣れているかを書きます。慣れている人には任せ、不慣れな人にはまず教えます。
  4. うまくいっていない点ごとに、できないのか、やる気の問題なのかの見立てと根拠を書きます。前者には訓練を、後者には話し合いを計画します。
  5. 最近 1on1 をしていない人がいないかを確かめます。
  6. 来四半期の KR が、達成か未達かで採点できるアウトプットになっているか、誰かの報酬に結びついていないかを確かめます。

出典にあること、ないこと

アウトプットの式、できないか・やる気がないか、仕事ごとの習熟度、計画についての言葉は、Horowitz の序文が引用・要約したグローブの言葉や考え方です。1on1 を最良の情報源とするのは Horowitz 自身の見方です。OKR の成り立ちと運用は、グローブ本人ではなく、ジョン・ドーアのサイト What Matters の説明によります。本にある 1on1 の細かい決まりや、効果の大きい活動の一覧は、確かめられる出典が開けなかったため載せていません。英文の引用につけた日本語は私たちの訳で、サポートチームの例は私たちが作ったものです。

よくある質問

OKR はアンディ・グローブが考えたのですか?

ジョン・ドーアの What Matters は、グローブがピーター・ドラッカーの目標管理(MBO)をもとにインテルでこの方法をつくり、当初は iMBOs(Intel Management by Objectives)と呼んでいたと説明しています。グローブから学んだドーアが OKR と名づけ、1999 年に Google に紹介しました。

マネジャーのアウトプットの式とは何ですか?

Ben Horowitz による『High Output Management』の序文が引用している式で、マネジャーのアウトプットは、自分の組織のアウトプットと、自分が影響を及ぼす周りの組織のアウトプットを足したもの、というものです。

グローブの OKR は目標管理(MBO)と何が違いましたか?

What Matters によると、年次ではなく四半期ごとに設定し、報酬とは切り離していました。また、グローブの採点方法は、達成したかしなかったかの二択だったと説明しています。

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下のスキルは、ここで紹介した原則を、あなたの計画・数字・判断に当てはめる手順にしたものです。出典のある原則に照らして見直すもので、本人になりきって話すものではありません。スキルの指示は英語ですが、日本語で頼めば日本語で答えます。

Claude、ChatGPT、コーディングエージェントで使えます。ポッドに入れると、チームの全員が同じ版を使います。

出典

  1. Ben Horowitz による『High Output Management』2015 年版の序文(a16z、英語) — マネジャーのアウトプットの式。できないか、やる気がないか。仕事ごとの習熟度。1on1。訓練は上司の仕事。今日のギャップは過去の計画の失敗 (閲覧 2026-11-04)
  2. What Matters:OKR の成り立ち(英語) — グローブがインテルで、ドラッカーの目標管理をもとに OKR をつくった。ジョン・ドーアは教え子 (閲覧 2026-11-04)
  3. What Matters:OKR の意味と歴史(英語) — iMBOs という呼び名。年次ではなく四半期。報酬と切り離す。達成したかどうかで採点 (閲覧 2026-11-04)
  4. What Matters:コミット型と野心的な OKR(英語) — グローブがインテルに OKR を導入した当初は、野心的な OKR しかなかった (閲覧 2026-11-04)
  5. What Matters:インプットとアウトプットの KR(英語) — グローブはアウトプットを KR の物差しにした (閲覧 2026-11-04)